国際的リスク共有のもとでの最適通貨圏の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 14:54 UTC 版)
「最適通貨圏」の記事における「国際的リスク共有のもとでの最適通貨圏の理論」の解説
この理論においてはマンデルはどのように為替レートの不確実性が経済に影響を与えるのかをモデル化しようとしたが、このモデルはあまり他の研究には引用されない(理論自体は1973年に発表された)。 この理論では、通貨が適切に運営されているとすれば、通貨圏は大きければ大きいほど良い。静的期待のもとでの最適通貨圏の理論とは対照的に、非対称的ショックは共通通貨の存在ゆえに共通通貨に害を与えない。共通通貨圏においては、通貨圏内のすべての地域が通貨の権利を共有し、この権利を非対称的ショックを緩和させるために使用することができるため、非対称的ショックは通貨圏全体に拡散する。一方で変動相場制においては、減価が通貨の購買力を減らすため、非対称的ショックのコストは個々の地域に集中する。このような理由で、共通通貨圏においては金融政策が個々の国に適切に設定されないにもかかわらず、実体経済はより良くなる。 凶作、労働者のストライキ、あるいは戦争など、共通通貨を用いている国のうちのひとつが実質所得の減少を引き起こしたとすれば、当該国が共通通貨を使用して(あるいは当該国の外貨準備によって)、調整コストが将来に渡って効率的に拡散してしまうまで(域内)他国の資本を利用することができるため、当該国が保有通貨量を縮小させ所得減少の影響を和らげることが許容される。一方で、もし、この二国が別々の貨幣を弾力的な為替相場制で使用していたならば、全体の損失をそれぞれの国が個別に受容しなければならない。そのため、当該国にとって共通通貨は全体としてショックアブソーバー(緩衝装置)として働かない。ただし、非兌換通貨の放棄によって通貨が減価し、これが外国為替市場で投機的資金流入を誘発する場合を除く。 — Mundell, 1973、Uncommon Arguments for Common Currencies p. 115
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