啓蒙思想の歴史意識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/15 05:35 UTC 版)
「啓蒙主義の歴史記述」の記事における「啓蒙思想の歴史意識」の解説
啓蒙思想は自然科学的な方法を重視し、従来は神学的に解釈されていた事柄についても合理的な説明をおこなった。たとえばローマ帝国の盛衰について、モンテスキューはローマ帝国の制度が絶え間ない戦争によって形成されたと指摘し、軍隊の影響力が増し、共和政から帝政に移行していったのは当然の帰結であったとする。ローマの滅亡も軍事的な衰退に求められており、道徳的退廃などは全く重視されていない。これは従来の神学的歴史研究、いわゆる普遍史においてはローマ帝国がキリスト教帝国であるゆえに発展し、その崩壊とともに終末が訪れるという救済史から解釈されているのと異なり、ローマ帝国それ自体の分析・把握からその歴史的性格を明らかにしているものである。このような科学的精神は後述する従来の歴史研究、普遍史・伝統的聖書解釈・聖書的年代学の批判にも通じ、また同時代の生物学・地質学などの自然研究においても同様の方法論的転回が見られた。(詳細は啓蒙思想を参照)
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