啓蒙活動 化学手品 放射線・宇宙線の実演
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:27 UTC 版)
「仁科芳雄」の記事における「啓蒙活動 化学手品 放射線・宇宙線の実演」の解説
一方で仁科は、科学の啓発雑誌として戦時中も刊行されていた『図解科学』の監修者でもあり続けた。 1940年11月、皇紀2600年の記念行事の一環として、理研は九段軍人会館で一般人に向けた講演会を開く。そのうち目玉の企画は仁科芳雄の「放射性人間」の公開実験であった。実験は、人工の放射性物質を人に飲ませて放射線を測ってみるというものである。サイクロトロンで重水素の原子核を加速し岩塩に衝突させて得られた放射性のナトリウム24を、仁科は一般にわかりやすくキャッチーな「食鹽(食塩)人工ラヂウム」と言い換えているが、これを0.1g水に溶かして、仁科研究室の小遣いであった加藤弥太郎(51)に飲ませた。物質が吸収され血中を巡って全身に行き渡ると、全身から放射線を発する「放射性人間」となる。ガイガーカウンタに手をかざすと「バチバチと機関銃のような音」を発し、手から放射線が出ていることを実演した。 また「食鹽人工ラヂウム」を溶かした水を吸い上げた植物から発する放射線や、謎に満ちた宇宙線も音に変えて示す実験を行い、これら「科学手品」のような平易な科学講演は観客に好評であった。
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