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和田悟朗

和田悟朗の俳句

てっせんやしなやかに伸び感電す
わが庭をしばらく旅す人麻呂忌
ガスタンクは盾 蛤らかえる昏い海へ
ブランコと万の墓石を越える曙
一箇の葬紐でつながる犬を残し
乾く柱の闇を自在に女据る
人間であること久し月見草
全身で蛇死にゆくや尼寺冷え
冷海へ漕ぎ出て岸に鈍角充つ
処女地の中墓標にあらず妻佇てる
大いなる梨困惑のかたちなす
天の構え地の構えすりぬける白鳥
太古より焚火を囲みいくさうた
太陽へゆきたし芥子の坂を登り
女と来て休日の校庭戦うものなし
嫩芽光る牝鹿ばかり無風を懼れ
寒暁や神の一撃もて明くる
寒牡丹立像倒れそのままに
弱き祭行けど片側をみどりの森
後頭の瘤ふと大きくなる薄陽炎
据銃の早さに全身の雪煙となる
敏き天秤を愛すわれ昨日は森に
日傘散る縦は横より長き後遺症
早き日没鳩の絵に唾を吐き
春の家裏から押せば倒れけり
朝霧の青き中なれば言いやすし
梅咲けり地球の裏に誰か居て
死者ついにわれと隔たる曼珠沙華
母ぎらつく水際を鹿の胸濡れ
氷裂け子ら叫びゆく美しき猥語
沖の巨船へ泳ぐに胸の厚さ足る
滅多打つ鍛冶の前ゆく乳母車
漏水の堤防めぐらし早婚都市
物言えば耳に聞こえて秋の暮
猫つねに猫と限らずいなびかり
男女画然と男女たり細きカヌー
睡眠薬のなか大虎杖を噛みちぎる
砂漠に妻匂う一直線に真黒に
秋の入水眼球に若き魚ささり
群集に黴繁殖し墓参り
胡桃割る力瘤して死なんかな
胸中の港ひらけ一隻ごとに沈黙し
腸をたたむ樹氷の中の電話器
膨張を思いとどまる茄子かな
葬列村を出でず母めく赤き車
薄命の父よ大湖氷塊を打重ね
蘇鉄の実鉄器時代の続くなり
蜥蜴かなし川涸れはてて踊りだす
豊満の魚華やぐ中の三面鏡
貯油タンク越冬せしが白く塗らる
 

和田悟朗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 02:18 UTC 版)

和田 悟朗(わだ ごろう、1923年6月18日 - 2015年2月23日)は、兵庫県出身の俳人化学者。専門は物理化学奈良女子大学名誉教授。

生涯

武庫郡御影町(現・神戸市東灘区御影町)出身、大阪大学理学部卒業。神戸大学理学部助教授、奈良女子大学理学部教授を経て同女子大学名誉教授(物理化学)。

俳句1952年より始め、橋閒石の「白燕」に参加、のち同人。高柳重信の「俳句評論」、赤尾兜子の「渦」同人を経て1992年より「白燕」同人代表。1977年現代俳句協会関西地区会議議長に就任。のち現代俳句協会副会長を経て、2004年3月より同顧問。2010年「風来」創刊・主宰。

1969年第16回現代俳句協会賞2007年第7回現代俳句大賞2013年句集『風車』により第64回読売文学賞詩歌俳句賞を受賞。他にも兵庫県文化賞、大阪文化芸術功労賞等を受賞している。時間、地球、宇宙、次元といった自然科学的な概念語を用いた大きな把握を持つ句が特徴[1][2]。1995年には阪神・淡路大震災により自宅が全壊、「寒暁や神の一撃もて明くる」の句を作った[3]

1999年、勲三等旭日中綬章受章[4]

2015年2月23日、肺気腫により死去。91歳[3]

著書

句集

  • 『七十万年』 俳句評論者 1968
  • 『現』 ぬ書房 1977
  • 『山壊史』 俳句研究新社 1981
  • 『諸葛菜』現代俳句協会 現代俳句の一〇〇冊 1983
  • 『櫻守』季節社 1984
  • 『法隆寺伝承』 沖積舎 1987
  • 『少間』沖積舎 1993
  • 『即興の山』梅里書房 1996
  • 『坐忘』花神社 花神俳人選 2001
  • 『人間律』ふらんす堂現代俳句叢書 2005
  • 『風車』角川書店 2012

選句集

  • 『和田悟朗句集』ふらんす堂 現代俳句文庫 1992
  • 『舎密祭』梅里書房 愛蔵文庫判自解句集 2003

評論・随筆など

  • 『現代の諷詠』 湯川書房 1985
  • 『俳句と自然』裳華房 ポピュラー・サイエンス 1989
  • 『活日記』梅里書房 2000
  • 『俳句文明』邑書林 2003
  • 『時空のささやき』ふらんす堂 2011

共著編

  • 『放射化学及放射線保健学』橋本庸平,杉井通泰共著 広川書店 1959
  • 『現代物理化学講座 第8 溶液の性質 第2』藤代亮一,玉虫伶太共著 東京化学同人 1968
  • 『生活の化学』改稿版 千谷利三共著 三共出版 1977
  • 赤尾兜子の世界』編著 梅里書房 昭和俳句文学アルバム 1991
  • 橋閒石『俳諧余談』編 白燕俳句会 2009

翻訳

  • ノイツィル『教養の化学』東京化学同人 1970

参考文献

脚注

  1. ^ 堀本吟 「戦後俳句とは いかなる時空だったのか?」 -BLOG俳句新空間- 2013年1月4日
  2. ^ 関悦史和田悟朗句集 『坐忘』」 閑中俳句日記(別館) 2009年1月14日
  3. ^ a b 俳人の和田悟朗さん死去:読売新聞 2015年2月24日配信
  4. ^ 『官報』号外215号、平成11年11月4日

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