名称と「千手」のいわれ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 15:39 UTC 版)
「十一面千手観音」「千手千眼(せんげん)観音」「十一面千手千眼観音」「千眼千臂(せんぴ)観音」など様々な呼び方がある。「千手千眼」の名は、千本の手のそれぞれの掌に一眼をもつとされることから来ている。千本の手は、どのような衆生をも漏らさず救済しようとする、観音の慈悲と力の広大さを表している。観音菩薩が千の手を得た謂われを述べた仏典としては、伽梵達摩訳『千手千眼觀世音菩薩廣大圓滿無礙大悲心陀羅尼經』がある。この経の中に置かれた『大悲心陀羅尼』は現在でも中国や日本の天台宗、禅宗寺院で読誦されている。六観音の一尊としては、六道のうち餓鬼道を摂化するという。また地獄の苦悩を済度するともいい、一切衆生を済度するに、無礙の大用あることを表して諸願成就・産生平穏を司るという。 千手観音の尊名は、前述の通り様々な呼び方がある。千手観音像の中には十一面ではなく、一面や二十七面の作例もある。このうち一面千手が古態と考えられ、中国現存最古の千手像とされる四川省丹稜鄭山第40号龕千手像は一面千手である。日本の文化財保護法による国宝、重要文化財の指定名称は「千手観音」に統一されている。 密教の胎蔵界曼荼羅で観音が配置される場所を「蓮華部」というが、千手観音はその中でも「蓮華王菩薩」と称される最高位の存在になっている。京都市にある妙法院三十三間堂が、正式には蓮華王院というのはこれに由来する。
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