同期自転の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/04 12:02 UTC 版)
このような同期は2つの天体の距離が比較的近く、相手の天体が及ぼす潮汐力が強い場合に起こる。こういった同期現象は惑星や衛星に限らず、公転運動する固体状の天体において一般的に起こり得る現象である。 互いに重力で引き合う2つの天体には、それぞれ相手の天体から潮汐力が働く。この潮汐力は、2天体を結ぶ軸の方向では天体を引き伸ばし、この軸に垂直な方向では天体を圧縮する向きに作用する。天体がある程度以上の質量を持つと、自己重力が十分に強くなり、静水圧平衡の状態となるため、ほぼ球形をしている。しかし、このような潮汐力が働くと、天体は2天体の軸方向に力が加わってわずかに伸びた楕円体となり、引き伸ばす力に由来する膨らみ(潮汐バルジ)を生じる。 ここで、例として惑星-衛星系を考え、両天体の公転運動に合わせて回転する座標系に乗り、潮汐力による衛星の変形の効果によって衛星が同期自転する様子を見てみる。 衛星の2つの潮汐バルジは、その自転周期と公転周期の差に応じて、惑星とを結ぶ軸上から若干ずれたところにある。これは、衛星の粘性に応じて潮汐力による変形応答が遅延するためである。ここで、2つの潮汐バルジ部の質量が惑星から受ける重力を考えると、これらの合力は、潮汐バルジが惑星とを結ぶ軸への移動を起こすようなトルクとなる(潮汐トルク)。この潮汐トルクは、衛星の自転周期と公転周期の差を縮めるように働き、衛星はついに同期自転状態に落ち着く。 これと同様のことは、惑星にも起こりうる。衛星からの潮汐力の効果で惑星が変形し、惑星には、衛星に同じ面を向けるようなトルクが生じている。
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