史記に見られる記述
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 17:56 UTC 版)
『史記』「孟嘗君伝」によると、一芸に秀でたものを迎えると公言している孟嘗君に「特技は特にない」と言い放ち、食客となるや「食事に魚がつかない」「外出時に馬車がない」「家がなければ妻子ももてない」と無心まがいの要求(剣を叩きながら歌うだけという体裁をとってはいるが)を続け、孟嘗君を呆れさせた。 その後、弁才に優れることを買われて孟嘗君の領地である薛(現在の山東省棗荘市滕州市)の民から借金を取り立てる役を任されたが、馮驩は集めた金で宴会を開き、借用書の一部は焼き捨てた。これを知った孟嘗君は馮驩を詰問したが、馮驩は「嘘をつかせないためには領民を一カ所に集める必要があり、そのための宴会だった」「返済能力がある者には完済を約束させたが、返済能力がない者には何をしても取り返せない。厳しく迫れば夜逃げする者も出よう。そうなれば、『領主は領民よりも金を大事にし、領民も領主を裏切って逃げ出す』と悪評が立つ。私は、返済不可能の証文を使って領民の忠誠心と諸侯の歓心を買いました」と釈明し、孟嘗君もその考えを受け入れた。その後、果たして馮驩の言うとおり、借金帳消しの話題が諸国まで広まり孟嘗君は名望を得た。 その後、孟嘗君は湣王(びんおう)によって罷免されるが、馮驩は策をもって孟嘗君を宰相に復職させた。その時、去った食客を呼び戻すことを進言、孟嘗君は難色を示したが、彼らは好悪の情で去ったのではなく自分の識見を活かせなくなったので去っただけと諭して呼び戻すことを認めさせた。
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