反物質の重力相互作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:10 UTC 版)
詳細は「反物質の重力相互作用」を参照 サイエンスフィクションの世界では、反物質は反重力を持つかのように書かれることがある。しかし、現代の物理学者は、反物質は正の質量を持ち通常の物質と全く同じように重力と作用するはずであると考えている。ただし、この見方は実験的にすでに観測されたと結論付けるには至っていない。反物質が観測できるような小さなスケールでは、電気力は重力相互作用を圧倒的に上回るので、実用的なレベルで重力を直接観測するのは困難である。特に現在使われている反物質生成法が生成する粒子のエネルギーは非常に高い。さらに、反粒子はその対応する通常の粒子から隔離されていなければならない。さもなければ、それらは瞬時に対消滅する。ATRAP反物質実験は直接計測を可能にすることが期待されている。 泡箱実験は、反粒子がその通常の対応する粒子と同じ慣性質量を持つが電荷は反対であることの証拠としてよく引き合いに出される。これらの実験では、箱の中は一様磁場に支配されていて、荷電粒子は回転半径および方向が電荷と慣性質量の比に一致する螺旋軌道で運動する。粒子/反粒子対は螺旋軌道を同じ半径で反対方向に運動するように見える。これは、粒子の質量または電荷の絶対値が同じで符号のみが異なることを意味する。しかし、これでは反転しているのが電荷または慣性質量のいずれかであるのかは判明しない。ところが、粒子/反粒子対は電気的にお互い引き合っていることが対消滅の前触れとしてよく観察される。この振る舞いはともに正の慣性質量および反対の電荷を持つことを暗示している。もし、逆が正しいなら(反対の慣性質量と同じ電荷を持つなら)、正の慣性質量を持つ粒子はその反粒子のパートナーから反発するであろう。
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