原核生物型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 00:33 UTC 版)
コンデンシンに類似したタンパク質複合体は原核生物にも存在し、やはり染色体(核様体)の構築と分離に関与している。それらは大きくSMC-ScpABとMukBEFという2つの複合体に分類することができる。原核生物型コンデンシンは、真核生物型に比べて、より単純なつくりをしている。例えば、真核生物型のSMCサブユニットがヘテロ2量体であるのに対し、原核生物型のSMCサブユニット(あるいはMukBサブユニット)はホモ2量体である。制御サブユニットのうち、ScpAとMukFはkleisinファミリーに分類されるため、SMC-kleisin3量体の基本構造は真核細胞と原核細胞の間で保存されているといってよい。一方、ScpBとMukEはkiteファミリーに分類され、真核細胞型のHEATリピートサブユニットとは大きく異なる。 複合体サブユニット分類枯草菌Caulobacter大腸菌SMC-ScpABSMC SMC ATPase SMC/BsSMC SMC - ScpA kleisin ScpA ScpA - ScpB kite ScpB ScpB - MukBEFMukB ATPase - - MukB MukE kite - - MukE MukF kleisin - - MukF 多くの真正細菌と古細菌がSMC-ScpABを有するのに対し、MukBEFはガンマ・プロテオバクテリア(γ-proteobacteria)と呼ばれる一部の真正細菌(大腸菌を含む)のみに見られる。SMC-ScpAB とMukBEFのサブユニットを比較したとき、一次構造レベルで類似性を見いだすことは困難であるが、電子顕微鏡像や変異体が示す欠損表現型から判断すると、2つの複合体は機能的なホモログであると推測することができる。両者は原核生物型(あるいはバクテリア型)コンデンシンと総称されることもある。最近になってMukBEFに似た第3の複合体(MksBEF)の存在も報告されているが、その機能についての情報は乏しい。
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