ATP合成酵素の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:45 UTC 版)
「ATP合成酵素」の記事における「ATP合成酵素の構造」の解説
現在、その構造が良くわかっているのはF型ATPアーゼのみである。F型ATPアーゼは Fo (エフオー)と F1 (エフワン)の2つの部位からなる。それぞれの部位のサブユニット名およびその数は以下の通りである(原核生物型)。 F1部位 – α(3個)、β(3個)、γ(1個)、δ(1個)、ε(1個) Fo部位 – a(1個)、b(2個)、c(9–12個、cサブユニットの数は不定) 真核生物のF型ATPアーゼはF1部位のサブユニット種類数は同じだが、Fo 部位は最大で8種類存在するといわれている。 F1 部位はεサブユニットを基部としてγサブユニットが幹状に結合し、その周囲をαおよびβサブユニットが囲うように交互に配置されている(γサブユニットを幹とすればα、βは葉の部分)。δサブユニットはα、βサブユニットの頂点に位置しており、F1部位の安定化に寄与していると思われる。F1部位は活性を保ったまま界面活性剤で可溶化することが可能であり、実験が行いやすい。F1部位は立体構造が1994年にWalkerらによって決定されており、その反応機構も明らかになっている。 Fo 部位は膜貫通型であり、cサブユニットがリング状に配置され、aサブユニットがその横に結合して、bサブユニットの基部となっている。bサブユニットは F1 部位のδサブユニットと結合し F1 部位の安定に寄与していると考えられている。Fo 部位は膜貫通型であるために活性型が得られにくく、可溶化しても元の正常を保てないことが多い。いまだ立体構造およびサブユニット構成は不定である。
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