ATP合成ステップのモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:45 UTC 版)
「ATP合成酵素」の記事における「ATP合成ステップのモデル」の解説
ATP合成の素過程は、以下のようなモデルが提唱されている。 カラ型βサブユニットは「開いた」構造をとっている。 1個目のプロトンが Fo 部位を通過する (out→in)。 Fo 部位は細胞内側から見て 120° 左回転を行う。 それに伴い、Fo 部位に結合した F1 部位も 120° の左回転を行う。 そのときADPがβサブユニットに入ることにより「閉じた」構造へ変化する。 2個目のプロトンが Fo 部位を通過し、さらに左120° 回転する。 回転した F1 部位にてβサブユニットに入ったADPにリン酸化反応が起きる。 3個目のプロトンが Fo 部位を通過し、さらに左120° 回転する。 βサブユニットは「開いた」構造をとり、ATPを放出してカラ型に戻る。1. に戻る。 このように、3個のプロトンが Fo 部位を out→in 通過するごとに、F1 部位がADPのリン酸化を行う。現時点では F1 部位の回転は直視されており確実性はあるが、Fo 部位の回転はいまだ確認されていない。しかしながらcサブユニットの立体構造から回転子であることが提案されており、おそらく回転していると考えられている。また、逆反応については、F1 部位の右回転(細胞内側から見て)が Fo 部位に伝わり、ATP合成酵素全体が右回転する仕組みとなっていると考えられている。 120° の回転を行うことは一分子観測の実験でも確認されており、低濃度 (20 nmol/L) のATP存在下ではアクチンフィラメントが 120° ごとに回転している様子が観察されている。また、ADPがつっかえてATP合成酵素が動かなくなったり、ATP合成酵素が「間違えて逆回転する」現象も観察されている。
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