原典版の作成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/05 14:26 UTC 版)
原典版は、19世紀的な合理主義、その当時の演奏家中心の解釈を盛り込んで作られた楽譜を、作曲家の本来の意図に戻すことを目的に作られた。自筆の楽譜そのもののみを自動的に原典とするのではなく、作曲家の弟子、助手または写譜作成業者が作成したコピー、作曲者が関与した初版、作曲者による書き込みのある印刷譜等を比較し、作曲者の意図を判断し作成される。自筆譜が存在しないような作品の場合、源泉からどのように写譜されたのかも判断し、同じ点が資料の多数決ではなく、系統立てて本来の音符を見つけ出していく。 作曲者の自筆譜が頻繁な改訂などによって複数ある場合、「最終決定稿」を原典版とすることも多いが、ブルックナーの交響曲のノヴァーク版のように、それぞれの改訂段階を別の版として独立させる全集もある。 シューベルトの「未完成交響曲」は自筆総譜のみが唯一の資料であるが、校訂者によって細部の読みが異なり、現在出版されている大手数社の原典版では、結果の異なるところが何か所にもわたっている。校訂者の判断は必然的に紛れ込むものであり、その作曲家の様式から理論的に間違いと判断し「誤植」として編者によって改良されてしまうこともあり、校訂報告を詳細に調べて使用しないと危険なこともありうる。
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