単一の島宇宙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 03:16 UTC 版)
「オルバースのパラドックス」の記事における「単一の島宇宙」の解説
1750年、トマス・ライトは天の川に関する考察から、惑星が太陽の周りをめぐるように恒星はある中心をめぐる銀河系をなしていると見抜き、さらに宇宙はこうした多数の銀河系の集まりからなるという先駆的な宇宙像を提唱した。 その後、ジョン・ハーシェルの父、ウィリアム・ハーシェルは巨大な望遠鏡を用いた詳細な観測から実際、星が実際ひしゃげた銀河系、もしくは島宇宙(しまうちゅう、island universe)という集団構造をなしていることを初めて捉えた。 ウィリアムが捉えたものは、実際には銀河系の一部だけではあったものの、こうして宇宙には星が均一に分布するのではなく、太陽系は星が密集した部分に存在することが明らかとなった。 ウィリアム・ハーシェルもライトと同じように当初宇宙がこうした多数の島宇宙からなると考え、星雲として知られるものの多くがそうした他の島宇宙であると考えたが、やがてその考えを捨て宇宙には我々の単一の島宇宙が存在するのみだと考えるようになった。 こうしてジョン・ハーシェルも含めて19世紀の天文学者の多くは、この単一の島宇宙という宇宙像を共有することになった。 この差し渡し数千光年の有界な領域の外にはただ無限の空隙が存在するとした宇宙像はオルバースのパラドックスの解決となる。 しかし1924年、エドウィン・ハッブルが、それまで銀河系内の星雲なのか銀河系外の別の銀河なのか不明であったアンドロメダ星雲中にケフェイド変光星を発見し、その距離を明らかにしたことによって、それが我々の銀河系とは別の銀河系であることが判明した。 このタイプの変光星は変光周期と絶対的な明るさとの間に一定の関係があり、周期と見かけの明るさの観測からその距離を割り出すことができる。 こうして、単一の島宇宙という考えは捨てねばならなくなった。 宇宙にはこのような銀河が多数存在し、これによって再び夜空の暗闇は説明が必要とされるものとなった。
※この「単一の島宇宙」の解説は、「オルバースのパラドックス」の解説の一部です。
「単一の島宇宙」を含む「オルバースのパラドックス」の記事については、「オルバースのパラドックス」の概要を参照ください。
- 単一の島宇宙のページへのリンク