南極収束線とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 南極収束線の意味・解説 

南極収束線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/14 05:36 UTC 版)

黄緑の線が南極収束線

南極収束線(なんきょくしゅうそくせん)もしくは南極収斂線 (Antarctic Convergence) は南極前線 (Antarctic Polar Front) ともいわれる、南極を一周する曲線。

概要

南極収束線は、冷たい南極の海水のうち偏西風によって北向きに輸送される海水と亜南極の比較的暖かい海水が出会って混ざる所(潮境)である。また、気象学的には寒帯前線と一致する。この前線を境に水温が2~3℃変わり、また塩分濃度も変わる[1]。 南極収束線は経度のような人工的な線ではなく、Arctic tree line(en)のような自然に存在する境目である。二つの水文学的領域を分けるだけでなく、南極特有の、海の生き物がつながっている区域や異なる気候区域も分ける。南極収束線の実際の幅はおよそ32キロメートルから48キロメートルほどで、大西洋太平洋インド洋のおよそ南緯48度と南緯61度の間にある。緯度は季節と経度によって多少変わるが、普通はもともとの位置から30分以上それることはない。南極の海水の殆どは亜南極の海水の下に沈む一方で、混合と湧昇が同時に起こっている領域では海の生産力(特にナンキョクオキアミ)が高い。

南極収束線より北の区域は極前線域[2]と呼ばれ、極前線域の北側の境目は亜南極前線などと呼ばれる。南極収束線と亜南極前線は両方とも南極環流の一部で、東へ向かう強い海流である。

世界で初めて南極収束線を横切ったのはAnthony de la Roché(en)で、1675年のことである[3]。世界で初めて南極収束線を記録に残したのはエドモンド・ハレーで、1700年のことである[4]

境目は動くものだが、南極の海洋生物資源の保存に関する委員会 (CCAMLR, Convention for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources) において、1980年に一度定義されたことがある[5]

北極は陸地に囲まれているので、南極収束線に相当するものは無い。

周辺の島

サウス・シェトランド諸島サウス・オークニー諸島サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島ブーベ島ハード島とマクドナルド諸島はすべて南極収束線より南にある。 ケルゲレン諸島は収束線のおおよそ上にあり、フォークランド諸島プリンスエドワード諸島クローゼー諸島アムステルダム島サンポール島フエゴ島マッコーリー島は南極収束線より北にある。

脚注

  1. ^ http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%C6%EE%B6%CB%C1%B0%C0%FE
  2. ^ http://www.jodc.go.jp/info/abbre.pdf
  3. ^ R.K. Headland, The Island of South Georgia, Cambridge University Press, 1984.
  4. ^ Alan Gurney, Below the Convergence: Voyages Toward Antarctica, 1699-1839, Penguin Books, New York, 1998.
  5. ^ Convention for the Conservation of Antarctic Marine Living Resources 1980, Article 1(4).

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「南極収束線」の関連用語

南極収束線のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



南極収束線のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの南極収束線 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS