千日手に関する戦術・戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 04:27 UTC 版)
将棋の定跡には、両方が最善の手を指し続けた場合、千日手にならざるを得ない定跡が複数ある。例を挙げれば矢倉戦法における先手後手同型の総矢倉の形では、仕掛けたほうが負けるため千日手を選択せざるを得ない。米長邦雄など、この形でも千日手を打開し、自分が有利な方向に持っていこうとする手を考える棋士もいる。 また、伊藤果が案出した風車戦法では、ひたすら守るばかりで自分からは攻めず、千日手でも構わないという発想が存在している。千日手指し直しの場合は先手と後手がいれかわるため、若干有利である先手番を得るために、後手側が千日手にならざるを得ないような定跡に誘導することがあるのである。 千日手に持ちこむことが可能そうな局面ができた場合、千日手によらなければ劣勢となるならば、意図的に千日手に持ちこんで引き分けとし、次局に期待することを考えることとなる。他方、千日手に持ちこまなくとも優勢である場合、千日手にして引き分けにするのは損であるため、他の手順で勝つことを模索するのが通例となる。 また、千日手にできる局面は、手数だけが伸びて局面には影響を及ぼさないため、4回に届かない間は持ち時間に追われる対局者の時間つなぎとして用いることも可能である。 『イメージと読みの将棋観』(2008年、日本将棋連盟)で藤井猛は戦略手に千日手を使う、後手番で戦略として先手に打開を迫るために使うのは好きだと述べ、振り飛車としては当然の作戦範囲で、後手番の不利をカバーする意味で必要なルールだとしている。
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