医薬品開発において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 09:09 UTC 版)
「モデリング&シミュレーション」の記事における「医薬品開発において」の解説
医薬品開発におけるM&Sは、コンピューターによる数学的シミュレーションと生物科学を統合した技術である。前臨床~臨床段階のデータを用いて、薬物の投与(曝露)量、血中薬物濃度、薬効、有害事象及び転帰の関係性を明らかとし、モデルを構築する。構築されたモデルは、用法用量、薬剤標的、適応、対象患者といった医薬品開発における重要な意思決定を定量化して支援する。 M&Sは、頑健な意思決定を支援すると共に、実試験にかわってデータを補完・代替することで、コストや時間を削減し、医薬品開発の効率化を実現する。 医薬品開発におけるM&Sは、主にその適用範囲の明確化・拡大と,医薬品開発におけるM&S担当者とチームのコミュニケーションのあるべき姿の観点から逐次変遷をたどり、近年ではModel Informed Drug Discovery & Development(MID3)と称されている。 MID3には、M&Sが化合物選択(Discovery)、臨床開発(Development)及び研究開発に関わる規制(Regulatory)といった医薬品開発のあらゆる相において意思決定に関わることを表している。当初のM&Sという呼称では方法や使用状況が漠然としており、より具体的なPharmacometrics(ファーマコメトリクス)やSystems pharmacologyが用いられるようになった。しかし、解析の専門家以外には理解が難しいという問題があり、医薬品開発にM&Sを適用することを指してMBDD(model based drug development)という呼称が用いられるようになった。長年にわたり使用されていたが、モデルが医薬品開発の意思決定を支配するという誤解を生んだため、MIDD(model informed drug development)とされ、その後開発段階における適用範囲を拡大してMID3となった。このほか、母集団薬物動態/薬力学(Population Pharmacokinetic/Pharmacodynamic、PPK/PD)解析、曝露-反応(Exposure-Response、ER)解析といったツールもM&Sに含まれる。
※この「医薬品開発において」の解説は、「モデリング&シミュレーション」の解説の一部です。
「医薬品開発において」を含む「モデリング&シミュレーション」の記事については、「モデリング&シミュレーション」の概要を参照ください。
- 医薬品開発においてのページへのリンク