医療政策・医療行政上の問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:46 UTC 版)
「医療崩壊」の記事における「医療政策・医療行政上の問題」の解説
日本では、1990年代後半から医療政策・医療行政に対する疑念が医療従事者のあいだで生まれ始めた。具体的には、1980年中葉以降の医師数抑制政策、医療費抑制政策により、医師不足に陥った病院勤務医が、医療費抑制政策を背景とした病院経営悪化のために過酷な労働を強いられるようになっていたのだという論調の俗説がある(2006年の時点で全国の7割以上の病院が赤字である)。元財務官僚の村上正泰によれば、「医療崩壊」の最大の原因はこれまでの医療費抑制政策であり、「これまでの医療政策というものは、医療費削減をすべてに優先させてきた悪しき財政再建至上主義の上に成り立ってきた」と指摘している。 しかし、上記俗説に反して、公のデータでは、2012年の日本の医療支出はGDPの10.3%を占めており、これはOECD平均の9.3%より1ポイント高い数字である。OECD加盟国のほとんどにおいて、医療財政の大半は公的セクターから支出されているが、2012年、日本の医療支出の82%は公的支出となっており、これはOECD平均の72%よりなお高いものである。したがって、上記の俗説のように医療費抑制政策がなされていたとしても、現実医療費は抑制されておらず、諸外国と比べてGDP比でやや高く支出されており、フランス、ドイツ、スウェーデンとほぼ同等の水準である。人口千人当たりの医師数では、日本は2.4人と対象国35カ国中下から6番目であり、少ない国の部類に属している。看護師数では、日本は11.0人であり、35カ国中12位であり、ほぼ中位のレベルとなっている。
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