医用放射性同位元素として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:54 UTC 版)
「アルファ粒子」の記事における「医用放射性同位元素として」の解説
1990年代以降、放射線治療の分野においてアルファ線の利用が模索されている。従来の非密封小線源治療では、「131I-Bexxar (ベキサール)®」、「89Sr-Metastron (メタストロン)®」、「153Sm-Quadramet (クアドラメット)®」、「90Y-Zevalin(ゼヴァリン)®」、「177Lu-DOTATATE ®」などのベータ線放出核種で標識した放射性医薬品が治療に用いられ、密封小線源治療においても125I、192Irなどベータ線放出核種を用いることが多い。ベータ線は同様に小線源治療に利用されるガンマ線や、外部放射線治療で使用される加速電圧4~12MVのX線やエネルギー4~8MeVの電子線よりは飛程が短いものの、数ミリメートルから数センチメートル程度の飛程を有しているため、腫瘍組織のみならず正常組織にも放射線が照射されてしまう。一方でアルファ線はベータ線と比較しても極めて飛程が短く、また電荷の絶対値がベータ線の2倍である事やアルファ崩壊による放出エネルギーがベータ崩壊と比較して大きい事から、線エネルギー付与 (LET)が非常に大きい。その為、ベータ線放出核種標識医薬品よりも更に局所的な放射線治療に利用できると期待されている。 2018年3月現在で、日本国の薬価収載を受けたアルファ線放出核種標識薬剤は「233Ra-Xofigo (ゾーフィゴ)®」のみである。放射線治療用アルファ線放出核種標識薬剤は現在、研究・開発の途上に有り、例えば149Tb、213Bi、211At、225Acなどを用いた薬剤で、第Ⅲ層以下の臨床試験が実施されている薬剤も多く存在する。 また、ホウ素10中性子捕捉療法 (BNCT) は、10B 原子核に中性子線が照射された際に、アルファ線と7Li 原子核が放射される事を治療効果に利用している。
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