化学物質の産生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 16:53 UTC 版)
エピクロエ属は二次代謝産物として、草食昆虫および哺乳動物に対する毒素、もしくは摂食抑制剤を産生する。 エピクロエ属は、草食動物に対して様々な生理活性を有する化学物質を産生する。麦角アルカロイド類はエピクロエ属の代表的な毒素であり、エルゴリン骨格のアルカロイド類である。 麦角アルカロイド類のうち、宿主植物の体内で最も多く存在するのはエルゴバリンである。エルゴバリンは、L-プロリン、L-アラニン、およびL-バリンと結合した二環トリペプチドと結合したエルゴリン部分を有する。この部分の合成に関わる以下の二つの遺伝子はエルゴバリンの鍵遺伝子である。dmaWはジメチルアリルトリプトファン合成酵素を、lpsAは非リボソームペプチド合成酵素をそれぞれコードしている。 そのほか、エピクロエ属が産生する二次代謝産物を以下に示す。ロリトレムBなどのインドールジテルペン類はいくつかの酵素、例えばプレニル基転移酵素やモノオキシゲナーゼに対して活性を持つ 。エルゴリンとインドールジテルペン類のどちらも草食哺乳類一般と一部の昆虫に対して有毒である 。ペラミンは、L-アルギニンとピロリチジン-5-カルボン酸から生合成されるピロリチジンアルカロイドの一種である 。昆虫の摂食を抑制する。ロリンアルカロイド類は、1-アミノピロリジジンで2位炭素と7位炭素に酸素が結合したものである 。L-プロリンとL-ホモセリンから生合成され 。ロリンは、ニコチンに匹敵する耐昆虫の殺傷と摂食抑制効果を持つ 。エピクロエ属を食した昆虫において、特に若い組織でロリンは蓄積し 、障害を受ける 。 例外はあるが多くの場合、エピクロエ属は麦角アルカロイド類、インドールイソプレノイド類、ロリンアルカロイド類の3種を産生する 。Epichloë uncinataの感染によるロリンは甲虫Heteronychus aratorからイネ科Festulolium属を防御する。
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