動き補償の精度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 05:59 UTC 版)
現在の動画像圧縮技術を作ったH.261では、1画素(フルペル)精度の動きを推定し動き補償を行っていたが、MPEG-1になって、半画素(ハーフペル)精度での動き補償が可能になった。物体の動きがちょうど整数画素単位になる確率は高くないため整数画素未満の精度(小数画素精度)での動きを利用することは非常に重要である。なお、小数画素単位でずれた位置の画像を生成するには、画素と画素の間の画素値を得る必要がある。この画素値は、フィルタリングにより画素を内挿して得る。なお、小数画素精度での動き補償では、このフィルタリングの持つローパスフィルタ効果によって、劣化していた予測に用いる画像のノイズが抑えられるという利点もある。 動きの精度は、MPEG-4ビジュアルのバージョン1までは半画素単位であったが、アドバンスドシンプルプロファイル(ASP)などを含むバージョン2では1/4画素(クォーターペル)精度が導入された。これは、H.264でも導入されている。特にゆっくりパンするような動画像において有効である。この精度になると動き情報だけで殆どの画像を再構成できる。 ところで、動きの精度を高めれば高めるほど予測画像の品質は向上するものの、同時に動きを符号化するのに必要な符号量も増える。そのため「どのレベルまで精度を高めると有効であるのか?」という議論がなされている。文献によれば、画像の種類にもよるが、1/8画素精度まで有効であることが理論的に明らかにされている。しかしながら、精度を上げると演算量が膨大になること、1/8画素と1/4画素とでの圧縮効率の違いは殆ど無いこと、また精度を上げると画像によっては圧縮効率が低下するという問題が無視できないことから、1/8画素精度が実用化されることは考えにくい。
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