創薬標的: 新規および既存
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 00:01 UTC 版)
一般に「標的」とは、開発中の薬物が作用することを意図した、病理学的に関心のある天然の細胞や分子構造を指す。「標的」の定義づけ自体は製薬企業内で行われた議論によって形成される。しかしながら、 新規と既存との標的の区分は標的がどのようなものであるかを完全に把握しなくても判別されている。このようにして判別された区分は典型的には製薬企業が創薬や開発に従事している低分子治療薬の区分になっている。2011年からの推計では、435点のヒトゲノム製品がFDA承認薬の治療薬標的として同定された。 「既存標的」は健常な状態の生理学的な標的機能も、ヒトの病理学的な標的機能も科学的な理解が良くなされており、長期にわたる発表履歴に裏打ちされている。既存であるということは、薬剤の作用機序が標的の完全に把握された詳細を通じて作用が考察されることをほのめかすわけではない。むしろ、「既存である」ということは直接的にはそれぞれの機能に関する情報について標的を取り巻く情報の量の多い少ないに関連している。 多くのこの種の情報は利用可能であるが、それに対して(通常は)各標的に対して臨床的な開発を施すための資金には限りがある。この種の機能情報を集約するプロセスは、製薬業界用語で「ターゲットバリデーション」(target validation)と呼ばれる。製薬企業が内部的に所有しているものも含めて、既存の標的は過去に医薬品開発の活動の積み重ねに経験付けられている。たとえばこのような経験の積み重ねは標的に対して低分子治療薬の化学的開発実現性に関する情報を提供する。そして他社へのライセンス供与の機会を提供し、低分子治療薬候補を考慮する際にその経験が選択の幅を提供する。 一般には、「新規標的」は創薬活動の主題としてなった標的のうち「既存標的」以外のものすべてである。典型的には新規標的は、新規に発見された蛋白質であったり、基礎研究により新たに機能が判明した蛋白質などが含まれる。創薬において今日選択される主な標的は蛋白質である。それらの蛋白質クラスの2つの主流は次のものである:Gタンパク質共役受容体(GPCR)とプロテインキナーゼである。
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