創薬・新治療法と万能細胞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/10 12:33 UTC 版)
「万能細胞」の記事における「創薬・新治療法と万能細胞」の解説
2008年に米ウィスコンシン大学研究チームが、遺伝性神経難病の男児の患者から作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を運動神経に成長させた後、その神経が病気により死ぬのを試験管内で再現することに成功し、皮膚由来のiPS細胞から病気のモデルとなる細胞が自由に作製できることが証明された。また、2009年には東京医科歯科大学研究チームが、新薬の候補となる物質の心臓への副作用を、iPS細胞を用いて正確にすばやく検出する方法を開発した。このように万能細胞であるiPS細胞は、実際のモデル細胞・組織・臓器を作製して新薬を探索したり、副作用の検査を行うことができるなど、新薬の開発の迅速化に役立ったり、新たな診断法の確立や病気の原因解明の面でも期待されている。 また、4つの遺伝子を細胞に導入して分化した体細胞を多能性幹細胞へと修復(初期化、リプログラミング)したiPS細胞の技術は、がん細胞の異常を修復させる技術への応用に利用できるのではないかと考えられており、がんの根本治療への新療法開発の面でも期待されている。
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