前古典時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:00 UTC 版)
紀元前700年代に生まれたポリスは初期においては貴族が中心となって政治を行ったことが詩人ヘシオドスの『仕事と日』の中に記述されているが、農地を所有していたヘシオドスは賄賂を受け取って不正な判決を下す貴族たちに反論しており、さほど身分に大きな違いがなかったと考えられる。また、一部ポリスでは王政も存在したようだが、結局は貴族政に移行したと考えられている。これら未成熟なポリス社会において、一部の有力市民が権力を握ることがある。これを『僭主制』と呼び、独裁者として君臨することも生じた。この時代の代表的な僭主はコリントスのキュプセロスやアテナイのソロン、ペイシストラトスなどである。 ポリスでは市民の統合の象徴として大規模な建物を建築し始めるが、これまでの宮殿のような権力を誇示したものではなく、神殿のような市民らの加護を象徴するものであり、この時代以降、ポリスの中心に位置する神殿は都市国家の景観上での象徴となった。ただし、ポリスにおける市民とは男性に限られており、またその大半が農民であった。また、ポリス自体は1500近く形成されたと考えられているが、アテナイやスパルタのように市民が3万から4万に達したのは特別であり、通常は数千人規模であった。このポリスが統一されることは結局なく、その理由については現在も研究課題とされている。また、複数のポリスが統一というにはあまりにも緩やかな枠組みを形成した例もある。これは「エトノス」と呼ばれており、過去にエトノスがポリスへ発展したという説も存在したが、現在は否定されている。
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