前兆と地震発生の関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 08:28 UTC 版)
「地震発生物理学」も参照 地震の前兆とされるものには科学的裏付けが不十分な報告も含まれることから、前兆と地震発生との関係(シナリオ)が明らかにされていなければ、科学的な予測とは言えないとする見方がある。 大中(1992,1998,2000)は力学的プロセスで区分した地震の発生過程の中で、前兆の位置付けを示した。大地震を力学的不均質場における不安定動的破壊と考えた場合、同一場所での地震の繰り返し過程は以下のようになる。 大地震発生直後から始まる断層強度の回復過程とテクトニック応力の増大により、リソスフェアが弾性的に変形し、ひずみエネルギーが蓄積される過程 テクトニック応力が高まるにつれて不均質リソスフェアが局所的に非弾性的に変形する過程 局所領域に変形が集中し破壊核が形成される過程 動的高速破壊伝搬過程(本震の発生) 動的高速破壊伝搬過程停止直後の余効的調節過程(余効変動、余震) この中で3.の破壊核形成の過程は近いうちに本震が発生する可能性が高まっている段階であって、この過程にあることを何らかの方法で検出することができればそれが前兆である。これを監視することにより、短期予知や直前予知の手法が確立されるとした。なお、動的破壊が始まるときの破壊核の大きさを臨界サイズというが、臨界サイズに至るまでの時間とその大きさはその場の地学的な環境に依存する。
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