制裁の結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 04:09 UTC 版)
制裁はイランの3520億ドルという、原油に依存した経済に影響を及ぼしている。イラン中央銀行の公報によると、原油輸出のシェアは減少傾向にある 。同時に経済成長にも影響が見られる 。2012年3月までには、イランの生産が過去10年で最低の水準に低下し、今後さらに1980年代のイラン・イラク戦争以来のレベルまで低下すると見られている。イラン産の原油は割引価格で販売され 、米欧原油市場におけるイラン産原油の穴埋めはサウジアラビア産でまかなわれ、後者の生産が30年ぶりの水準となっている。 これまでのところ対イラン制裁は、イランが核開発計画を進めるために不可欠な材料及び設備を入手することを困難にしており、計画にとって重大な障害となっている。制裁の社会的、経済的な影響も大きい。例えば、2011年の秋頃から、イラン通貨の貨幣価値が下落し、イランを金融恐慌状態に陥れたとされている。EUの原油輸入停止の直後、通貨がさらに10%下落した 。一方、どの程度まで影響が与えられるのかはっきりとわからないという意見もある。制裁はイランの国民生活に影響を及ぼすのみで、専門家の中には核開発計画自体には効果的な影響を及ぼさないと主張しているものもおり、1970年代から核開発活動を行ってきた4ヶ国中3ヶ国は、制裁措置にも関わらず、核開発を成功させたことを例にあげている。もう一つの影響としては、イランによるホルムズ海峡の封鎖の示唆により、各国が代替の原油輸送経路を検討し始めたことがある。 結果として現在中国がイラン最大の貿易相手国となっている。アメリカは、ZTEなどの中国企業が、経済制裁に違反してイランとの貿易を行っているとして摘発および制裁を行っている。
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