制作者逮捕の余波
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:23 UTC 版)
Winny事件の立件にあたって、京都地方検察庁はファイル交換用P2Pソフトウェアの開発自体を、違法行為としているのか判断の明示を避けているが、この一件は、日本国内でのPeer to Peer(P2P)ソフトウェア開発・配布者の開発行為を萎縮させると懸念されると、2004年に開かれた初公判の中で金子は述べており、これに賛同するソフトウェア開発・配布者[誰?]も少なくない。 日本製とされるファイル交換用のP2Pソフトウェアで、主に同様の目的で使われる種類のものとしては、「LimeWire」「Share」「AsagumoWeb」「Ansem」「Speranza」「BitTorrent」「Cabos」、そして「Perfect Dark」などが存在している。 この中で、アプリケーションソフトウェアの開発・配布行為に責任を問われた事例は、Winny以外で存在しない。P2P技術と、違法なファイルの交換を容易にする技術は、全く別のものであり、P2P技術自体は、Skype や Bitcoin や ブロックチェーン のような利用も可能である。 金子が幇助に問われているのは、違法なファイルデータの交換を容易にする技術を実装したことと、そのコンピュータソフトウェアの配布の態様にある。違法なファイルの交換を容易にできないように、中立的なソフトウェアの実装方式・配布方法であれば、現状では問題ないと解される。また日本の法律では、技術そのものが違法という考え方は成立しない。 さらに、開発・配布者の逮捕に伴って、Winny の使用法を解説したウェブサイト「WinnyTips」の制作者も、自宅を家宅捜索され、Winny解説ウェブサイトは閉鎖された。 この件については、間接的にではあるが、事件そのものとは関わり合いのない、個人のウェブサイトを閉鎖に追いやったことから「警察による表現の自由の侵害ではないか」という声も挙がった。 金子の逮捕には国内外の多くの技術者やIT系経営者から疑問を投げかけられたほか、近未来のインターネット上での主流となりうるP2P技術やブロックチェーン技術が完全に日本主導から絶たれてしまったため、その莫大な損失を危惧する声もある。
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