制作場所と時期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 15:21 UTC 版)
「ルイス島のチェス駒」の記事における「制作場所と時期」の解説
「ルイス島のチェス駒」と呼ばれているが、これらの駒はルイス島やヘブリディーズ諸島で作られたものではなく、よく似た駒が発見されたノルウェーのトロンハイム近郊(ムンクハイム)の工房で12世紀頃に制作されたものだと考えられている。他方スカンディナヴィアの他の地域で作られたと主張する研究者も存在する。いずれにせよ、これはキングやクイーンの玉座の裏側に施された渦巻状の動植物の彫刻と、スカンジナヴィアで発見された彫刻との類似を根拠としており、12世紀という制作年代もその類似した彫刻の制作時期をもとにしたものである。制作年代についてはビショップの被っている司教冠も手掛かりとなる。ルイス島のチェス駒のビショップは現在と同じように尖った部分を前後に向けて冠を被っているが、12世紀の半ばまでは尖った部分を両横に向けた被り方がなされていた。以上のことから研究者の間では駒の制作時期は1113年から1175年の間という見方で落ち着いている。 駒の元々の所有者について確かなことは分かっていない。当時アウター・ヘブリディーズは他のスコットランドの島々と同じくノルウェーに支配されていたので、この駒は何者かがノルウェーからアイルランド東岸のノース人入植地へ移動する途中、なんらかの事故に巻き込まれ、中継地であるルイス島に駒を隠した(あるいはそこで失くした)ものとする見解や、駒がまとまって見つかったことと傷がほとんどないことから、一群の駒は取引のための在庫品であったとする意見もある。 なおチェスの駒と一緒に、セイウチの牙で作られた14個のすごろくゲームの駒とベルトのバックル1個も発見されており、これらを合わせると93個の工芸品が発見されたことになる。
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