利子率弾力性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:15 UTC 版)
「量的金融緩和政策#予想インフレ率と実質金利」および「デフレーション#金融政策」も参照 一般的に、金融政策は利子率へ影響を及ぼし、金利が民間投資(設備投資)に影響を与えることで実体経済へ影響を及ぼす(民間投資には広義では家計の住宅投資も含まれる)。 しかし、これには前提がある。それは民間投資が利子率に反応するということである。これが利子率弾力性であり、利子率の変動に対して民間投資がよく反応するほど弾力性が高いといえる。この弾力性が著しく低い場合は、金融政策と実体経済のリンクがなくなっている状態であり、金融政策の効力は低下する。利子率弾力性が高い状態とは、「融資さえ受けられれば投資したい」と考える企業家が十分な量、存在する状態であり、投資案件に事欠かないような状態である。投資案件がない状態では、いくら名目利子率が低下しても投資など発生しないため金融政策は無力化する。 経済学者の高橋洋一は「マネタリーベースの拡大で予想インフレ率が高まると、実質金利が下がり、一定のラグを伴って実物経済に波及し、後のマクロの名目GDP成長率、失業率、賃金上昇率、インフレ率が決まってくる。その過程で、為替も副産物として決まってくる」と指摘している。また高橋は「デフレから脱却するために一時的に実質金利がマイナスとなるが、長期的にマイナスのままとはならない」と指摘している。 エコノミストの櫨浩一は「金融緩和によって経済活動が活発化する経路は、金利低下による企業の設備投資・家計の住宅投資の活発化だけではない。金融緩和を行うと資産価格が上昇するという経路も大きな影響を与えている。家計消費は、毎年の所得によって影響される部分が大きいが、株・預貯金などの金融資産や不動産などの実物資産も含めて、保有資産額が増加すると消費支出が増えるという資産効果がある」と指摘している。
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