別の星系の塵円盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/07 14:53 UTC 版)
「太陽系外惑星の発見方法」の記事における「別の星系の塵円盤」の解説
これまでの観測で、いくつもの恒星の周りには塵円盤(星周円盤)の存在が確認されている。塵円盤には恒星が発する光を吸収して赤外線を放出する性質(赤外超過)があるため、それを利用して塵円盤の検出が行われている。塵の粒子の総質量が地球質量よりも遥かに小さい場合であっても、赤外線で観測すれば塵円盤が有する総表面積は恒星を遥かに凌駕するものになる。 ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているNear Infrared Camera and Multi-Object Spectrometer(英語版)(NICMOS)や、スピッツァー宇宙望遠鏡、ヨーロッパ宇宙機関のハーシェル宇宙望遠鏡などによって、塵円盤の様子が高精度に観測されている。現在では、太陽の近隣にある恒星のうち15%以上が塵円盤を持っていることが知られている。 塵は彗星や小惑星の衝突によって発生するとされているが、恒星からの放射圧はこの塵を比較的短い時間スケールで星間空間へと拡散させてしまう。そのため、塵円盤の検出は持続的な天体衝突による塵の補給を示しており、彗星や小惑星のような小天体が存在するという有力な間接的証拠となる。例えばくじら座τ星の周囲には、太陽系のエッジワース・カイパーベルトに似た塵円盤が確認されているが、総質量は少なくともエッジワース・カイパーベルトの10倍はあると推定されている。 さらに、塵円盤の存在は惑星の存在を示唆している場合もある。塵円盤の内部には塵がほとんど無い空洞がリング状に広がっている事があり、このような空洞はその空洞内を公転している惑星の重力によって塵が一掃されて生じたものである可能性がある。このような事例として、エリダヌス座ε星の塵円盤が挙げられる。エリダヌス座ε星にはすでにドップラー分光法で発見されているエリダヌス座ε星bに加え、約40 au離れた位置に別の惑星の存在が示唆されている。このような惑星と塵円盤の間の相互作用は「Collisional grooming(衝突グルーミング)」と呼ばれる技術によって数値的にモデル化する事が出来る。
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