刑場のある刑事施設への移送
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 09:55 UTC 版)
「日本における死刑囚」の記事における「刑場のある刑事施設への移送」の解説
刑場のある刑事施設は、2021年現在、全国で7箇所(札幌刑務所〈収監先は隣接する札幌拘置支所〉、宮城刑務所〈収監先は隣接する仙台拘置支所〉、東京拘置所、名古屋拘置所、大阪拘置所、広島拘置所、福岡拘置所)あり、多くの死刑囚は未決のうちから、刑場のある上記の施設のいずれかに収容されて死刑判決が確定することになる。それは、地方裁判所で一審判決を受けた後も身柄の拘束が続く場合、原則的に高等裁判所がある場所の拘置所・拘置支所に移送されるためである(例:ファミレス2人射殺事件の元死刑囚。千葉から東京へ移送ののち、2013年4月26日に東京拘置所で死刑執行。)。 高等裁判所がある場所の拘置所・拘置支所は全国で8箇所あるが、高松矯正管区以外の拘置所には刑場がある。もちろん、一審段階から刑場のある拘置所・拘置支所に収容されている者は、死刑判決が確定しても原則として移動することはない(例:名古屋市中区栄スナックバー経営者殺害事件の元死刑囚。名古屋から移動せず、2013年2月21日名古屋拘置所で死刑執行。)。 刑場のない刑事施設で死刑判決が確定するのは、主に以下の場合である。 高裁支部[仙台高裁(秋田支部)、名古屋高裁(金沢支部)、広島高裁(岡山支部・松江支部)、福岡高裁(宮崎支部、那覇支部)]で死刑判決を受け、最高裁で上告棄却の判決を受ける例:鳥取連続不審死事件の女性死刑囚の場合、第一審判決(鳥取地裁)後に鳥取刑務所拘置区から松江刑務所拘置区に移送され、上告審判決(2017年7月27日)の時点では松江刑務所に収監されていたが、死刑確定後の同年9月22日時点では、広島拘置所に移送されていることが確認されている。 ただし、富山・長野連続女性誘拐殺人事件の女性死刑囚の場合、1992年3月31日に名古屋高裁金沢支部で控訴棄却(死刑とした第一審判決を支持)の判決を受け、上告後の同年8月5日に金沢刑務所から名古屋拘置所へ移送された。その後、上告棄却判決日を名古屋拘置所で迎えている。 高裁はあるが、刑場がない場所(高松矯正管区)において最高裁の死刑判決を受ける - 例:香川・坂出3人殺害事件の元死刑囚。高松高裁を経て最高裁で死刑確定。大阪拘置所に移送され、2014年6月26日に死刑が執行された。 刑場がない刑事施設で死刑の一審判決を受け、控訴せずに死刑が確定する - 例:福島女性飲食店経営者殺害事件の元死刑囚。福島地裁郡山支部で死刑が確定。1999年9月10日に宮城刑務所で死刑が執行された。 また、1945年 - 1963年の間は、東京に刑場がなかったため、死刑執行のため、宮城刑務所に死刑囚を送っていた。これは「仙台送り」と呼ばれていた。
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