切片と非確率的時間トレンド項を含めるかについての不確実性に対する取扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 06:59 UTC 版)
「ディッキー–フラー検定」の記事における「切片と非確率的時間トレンド項を含めるかについての不確実性に対する取扱い」の解説
3つのディッキー–フラー検定のどれを使うべきかはマイナーな問題ではない。どれを使うべきかは単位根検定のサイズ(単位根が実際にあったとして単位根があるという帰無仮説を棄却する確率)と検出力(単位根が実際になかったとして単位根があるという帰無仮説を棄却する確率)が重要になる。切片や非確率的時間トレンド項の不適切な排除は係数の推定値 δ にバイアスをもたらし、実際の単位根検定のサイズと報告されるサイズが一致しなくなる。もし a 0 {\displaystyle a_{0}} の項で推定される時間トレンド項が不適切に除外されたならば、トレンドがドリフト付きランダムウォークモデルを通して捉えられるために、単位根検定の検出力は大きく減少してしまう。一方、不適切な切片や時間トレンド項の導入は単位根検定の検出力を下げ、時に検出力の下落は大きなものとなる。 切片と時間トレンド項を含めるかどうかの事前的な知識の利用はもちろん理想的ではあるが、常には不可能である。このような事前知識の利用が不可能である時の様々な検定(一連の順序検定)が提案されている。例えば、Dolado, Jenkinson, and Sosvilla-Rivero (1990)や Enders (2004) を参照の事。これらの検定はしばしば自己相関を取り除くためのADF検定に拡張されている。Elder and Kennedy (2001) は他の検定法におけるような2、3回単位根検定を行うことを避ける単純な検定法を提案し、y の長期的な成長(ないしは収縮)が存在するか否かについての事前的な知識をどのように利用するかを議論している。Hacker and Hatemi-J (2010) はこの問題についてのシミュレーションを行っている。このシミュレーションは Enders (2004) と Elder and Kennedy (2001) の単位根検定法についてもカバーされている。Hacker (2010) で提示されたシミュレーション結果では、シュワルツ情報量規準のような情報量規準(英語版)を用いることが、ディッキー–フラーのフレームワークにおいて単位根とトレンドについて決定するのに有用であると示唆されている。
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