刃形状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 03:12 UTC 版)
刃先形状と切断品質に関係する要因 エンビカッタの刃物は、2段クサビ形状となっている。刃先端部の「クサビの角度」は各メーカ約30度になっている。これは、切断対象材に対して刃の欠けが無くまたへたりの無い強度を確保した角度として設定されている。2段クサビ形状は、1段目の刃先が対象材を切り込み、同時に2段目のクサビで対象材であるパイプを押し広げて切断荷重を小さくする効果がある。1段目と2段目のクサビの角度および寸法の設定が、パイプの割れや切断荷重(使用時のハンドルに加える力)に大きく影響を与える。刃先端部の角度が約30度より大きくなるとパイプの低温時での割れの確率は小さくなる事が実験より判明しているが、切断荷重は当然大きくなる。 切断荷重に影響する要因として、「刃面粗さ」もある。鏡面のように滑らかな刃面であると切断荷重は大きくなる。逆に研磨無しの荒々しさであっても荷重は大きくなる。つまり、切断荷重を最小限にする適切な表面粗さが存在すると言う事であり、各メーカはそれぞれが研究をして商品に取り入れている。 「刃の材質」は、SK材が主体でSUS材を使用しているメーカはまれである。SK材の刃は、何らかの操作上のトラブルがあると欠けやすい、SUS材(ステンレス鋼)は、刃先が曲がってしまうという特徴がある。 エンビカッタがラチェット機構を採用しているのは、工具の小型化と操作荷重を小さくする事だけではない。主体となっている被切断材料の塩化ビニル管は、割れやすいパイプである(特に低温時に)。単式レバー方式の切断工具でいっきにクサビ切断を行うと刃物の動くスピードが早くて割れてしまうからである。そのためにも手の操作速度に対して刃物の動きを遅くする効果があるレバー比の大きいラチェット機構を採用している。 また、切断完了前の時にパイプが欠けてしまう事がある。設計時には最終の切断面積をどれくらいとするかも重要なパイプ割れ(欠け)対策であり、これを考慮してラチェット最終段は決定されている。 現在の商品には、エンビカッタの刃輪郭形状は、「直線刃」と「アール刃」の2種類があるが、圧倒的に直線刃が多い。最初にアール刃を採用したのは北陽産業(株)のみであったが、2002年に倒産している。北陽産業(株)のエンビカッタに関する実用登録権を未来工業(株)が取得し、現在(2011年)、水戸工機 (MITOLOY)で製造、MITOROY・未来工業(株)・マルト長谷川工作所 (KEIBA)の3社で同一品を販売している。
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