再抗告審決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 02:30 UTC 版)
一方、最高裁調査官として本件を担当することになった木谷明は当初、通例と同じく本件も再抗告事由違反によって処理しようとした。しかし、調査を進めるに従って、木谷はAが無実ではないかとの心証を強く抱いた。しかしながら、従来の法解釈に従えばどうあっても原決定を覆すことは不可能であった。木谷はAを救済するため考えに考え抜き、理論構成は完全でないと知りつつ、保護処分不取消決定に対しても一定限度で上訴を認めるべきとする報告書を提出した。 そして、この木谷報告書を基調として、伊藤正己裁判長が指揮する最高裁第三小法廷は、9月5日に原決定の取消差戻しを決定した。 誤つて保護処分に付された少年を救済する手段としては、少年法が少年側に保障した抗告権のみでは必ずしも十分とはいえないのであつて、保護処分の基礎とされた非行事実の不存在が明らかにされた場合においても何らかの救済の途が開かれていなければならない。 と判示したこの最高裁決定は、マスコミ各社も「少年保護処分に再審の道が開かれた」として大々的に報道する、従来の学説や実務を大きく踏み越える極めて重要な判例となった(下記参照)。一方、この決定に対しBの祖母は「犯人がだれであっても、〔B〕は戻って来ない」「そっとしておいてほしい」と語っている。
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