内部補助ではないとされる例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 23:19 UTC 版)
「内部補助」の記事における「内部補助ではないとされる例」の解説
以下のような事例は、形式的には他の事業の利益から補填を受けているように見えても、前述のポンソンビーの定義する内部補助にはあたらないとされる。見かけ上の内部補助とも呼ばれる。 事業立ち上げの初期の場合 新しい事業を開始した初期には損失を計上する場合があるが、長期的にはその事業で利益を出すようになり、当初の損失も回収できるならば、内部補助にはあたらない。この場合、損失を出している期間では、単年度の会計で見れば、その事業の損失を他の事業の利益で補填していることになる。純粋な民間企業であってもごくありふれた事例である。 事業が不可分である場合 事業別にみると損失を補填されているように見えるが、その事業が他の事業と不可分である場合は内部補助にはあたらない。例として、A地点とB地点を結んでトラックによる貨物輸送事業をおこなっている企業があり、AからBへの輸送需要は多いがBからAへの輸送需要はそれより少ない場合、BからAへの輸送は一部のトラックを空で回送するか、少なくとも満載できない状態で走ることになり、AからBへの輸送に比べて収益性で劣ることになる。BからAへの輸送単独で見て損失を計上する場合は、会計上はAからBへの輸送の利益で補填しているように見えるが、AからBへトラックを走らせた以上はBからAへトラックを回送することなしに事業を継続できないのは明らかであり、これらの事業は不可分である。全体として利益が出ているのであれば問題がない。 閑散期の事業である場合 需要に時間的な変動があり、閑散期に事業を実施すると、事業に直接必要な経費は賄えても、固定費の配賦額までは賄えない場合は、内部補助にはあたらない。 培養効果のある場合 その事業単独で見ると損失を補填されているように見えるが、その事業を行うことによってその事業体の他の事業に増収効果があり、そうした増収効果を含めた収入が費用を上回るならば、内部補助にはあたらない。例として、鉄道のローカル線や支線は、その路線単独での収入が支出を下回り損失を計上することがあるが、そうした支線があるために、支線に接続している他の路線の利用が増加して増収となることがある。そうした増収効果を含めたときに支出を償えるならば、培養効果があるとして内部補助にはあたらないとする。しかし実際に培養効果が発生しているかどうかの判定は容易ではない。 共通費の十分な負担ができない場合 複数の事業に共通の経費が存在し、ある事業から得られる収入が、その事業固有の経費は賄えるが、共通費の配分額を賄えないときは、内部補助にはあたらない。共通費の配分額全額を負担できなくてもいくらかでも負担しているのであれば、その事業を廃止してしまっても、他の事業が負担しなければならない共通費が増えるだけである。上記閑散期の事業である場合に類する。
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