内容上の特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 15:00 UTC 版)
『宋元学案』は、『明儒学案』が各人の思想的問題や学問の宗旨を重んじたのに対して、各人の史実や考証を重んじたものとなっており、思想分析よりは資料収集的な側面が強い。これは『明儒学案』を独力で完成させた黄宗羲と、『宋元学案』の実質的な編纂者である全祖望との学問傾向の相違によるものとも言われている。ただ『明儒学案』以上に学脈の探索に熱心で、各学案の冒頭には学案表が附載され、師承・同調・朋友などの関係が一望の下に明らかになるように苦心されている。 『宋元学案』の学者の配列は、道統を基調としている。道統とは、朱子学の正統性を示すために作られた、古代からの正統な学脈のことである。本書は冒頭に胡瑗・孫復らを置いて宋代道統の淵源とし、次でその羽翼として范仲淹・欧陽脩らを配置する。そして道統の本尊として周程張朱と呼ばれる周敦頤‐程顥・程頤‐張載‐朱熹を骨格とする。その傍流として、活躍時期を勘案しつつ司馬光、程門諸氏、朱熹の交遊者、朱熹の後学を列挙し、最後に元朝の諸儒に及んで学案を閉じている。またどの系列にも納まらない雑多な学者は、「諸儒学案」にまとめ置かれている。 『宋元学案』巻末には「荊公新学略」「蘇氏蜀学略」「屏山鳴道集説略」が活躍時期を無視して置かれている。荊公は王安石の、蘇氏は蘇軾・蘇轍兄弟の、屏山は李純甫のことを指す。彼等は程頤や朱熹と敵対した人々や、儒学と仏教を融合させた人物であるため、正式な儒学者とは見なされず、一層劣ったものとして扱われたことによる。
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