共用クラスタストレージに対する優位点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 04:38 UTC 版)
「DRBD」の記事における「共用クラスタストレージに対する優位点」の解説
クラスタシステムは一般に共用ストレージを使い、クラスタリソースに使うデータを格納する。この方式には以下のような欠点があり、DRBDはこれに対処できる。 共用ストレージは単一障害点になりやすい。各ノードの障害に対してはサービスを継続可能だが、共有ストレージの故障はサービス停止を引き起こす。これに対応するため、共有ストレージはコントローラを含めたモジュールの多重化などで対応してきたが、結果として装置が高価なものになった。DRBDでは、データは共有されるのではなく複製されるため、ネットワーク設計等関連するモジュールの設計・設定が適切であれば、単一障害点になるようなポイントがなく、高価な装置も不要である。 スプリットブレインシンドロームが発生すると、共用ストレージが問題となる。つまり、ノード間の通信に障害が発生し、各ノードが自分だけが動作していると判断した場合、クラスタリソースを全て獲得しようとする。すると共用ストレージに両系から同時に書き込みが発生し内容を破壊してしまう可能性がある。通常はクラスタコントローラ(クラスタソフトウェア)と共有ストレージの協調(たとえばSCSI3 Persistent Reservationの利用)によりスプリットブレインに対して対処している。DRBDではデータは共有せずに複製しているので、(プライマリノードが信頼できるかセカンダリノードが信頼できるかの問題はあるが、)少なくとも内容が破壊されるような事態にはならない。 共用ストレージとしては、SANやNASが使われ、読み込みにもなんらかのオーバーヘッドがある。通常、これらのオーバーヘッドはキャッシュ等で隠ぺいされ、ピークパフォーマンスも高価なストレージを採用することで対処することになるが、DRBDでは読み書きはローカルに行うので、相対的にオーバーヘッドが小さくなることが期待できる。当然、相対的に安価に構築が可能となる。 総じて、共有ストレージに対して、安価で冗長構成が可能となるところに、優位点がある。
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