共振条件下での結合係数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 00:53 UTC 版)
「磁界調相結合」の記事における「共振条件下での結合係数」の解説
コイル同士が疎結合された変圧器では、一次コイルを流れる電流により発生した磁束は一部しか二次コイルと結合せず、その逆も同じである。結合する部分を「主磁束」と呼び、結合しない部分を「漏れ磁束」と呼ぶ。この結果、系が共振状態にない場合は二次コイルに現われる開放端電圧はコイル巻数比から予測される値よりも小さくなる。結合の度合いは「結合係数」と呼ばれるパラメータで捉えることができる。結合係数 k は変圧器の実際の開放端電圧比と、磁束の全てが結合していた場合の開放端電圧比との比率として測定可能である。ただしコイルに何らかの負荷が接続されている場合は磁束比は変化するが、これを結合係数が変化したとは言わない。k の値の範囲は 0 と ±1 の間である。無負荷状態において各コイルのインダクタンスは名目上 k:(1−k) の比率で主磁束を発生させるインダクタンス成分(相互インダクタンス)と漏れ磁束を発生させるインダクタンス成分(漏れインダクタンス)の二つに分けることができる。無負荷状態における主磁束と漏れ磁束との比は相互インダクタンスと漏れインダクタンスとの比に等しくなる。ところが負荷に電流が流れる場合は主磁束と漏れ磁束との比率は変化する。とくに容量性の負荷が存在する場合は一定の条件において主磁束が大幅に増加する。 結合係数は系の幾何配置の関数であり、二つのコイルの位置関係により定まる。結合係数は系が共振状態にあるかないかに関わらず一定である。共振状態においてコイル巻数比よりも大きな二次電圧が生じている場合でも結合係数は変化しない。すなわちこれは、結合係数は変化せずに主磁束が大幅に増加している状態である。 共振系は密結合、疎結合、臨界結合、過結合のどれかに分類される。密結合とは、通常の鉄芯変圧器のように結合係数がほぼ1の場合である。過結合とは、二次コイルが非常に近くコイル相互の結合の生成が反共振の効果により妨げられる状態であり、臨界結合とは通過帯における電力伝送と効率が最大となる状態である。疎結合とはコイルが互いに離れており、磁束のほとんどが二次コイルに届かない状態である。テスラコイルでは 0.2 程度の値が用いられ、より距離の大きい、たとえば誘導ワイヤレス電力伝送の場合は 0.01 を下回る場合もある。
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