光異性化による分子の動きの応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 20:08 UTC 版)
「アゾベンゼン」の記事における「光異性化による分子の動きの応用」の解説
アゾベンゼンが光異性化するということは、光により分子が動くということである。そしてこの動きはより大きなスケールの動きへと展開できる。例えば、アゾベンゼンは偏光を継続的に照射されると、光異性化を繰り返しながら動くうちに、その偏光を吸収できない配向に落ち着いてしまう。このような、偏光によるアゾ色素の異方化は、複屈折や二色性を引き起こす。この光による配向効果は液晶など、ほかの材料にも利用される。例えば、液晶部を選択的に配向させ、非線形光学材料を作ったりすることができる。アゾ化合物の光異性化は、液晶相の光スイッチにも用いられる。 1995年に、アゾ高分子の薄いフィルムを強度や偏光度が一定の勾配で変わる光にさらすと、その表面に自発的に模様が現れることが発見された。その高分子が、光にさらされる分子の量を減らすように可逆的に変形するためである。この現象はレーザーアブレーションとは異なり、可逆的でかつ小さなエネルギーしか必要としない。このホログラフィーの現象は詳細の機構が未だに不明ではあるが、アゾベンゼンの光異性化によることは明らかである。 アゾベンゼン構造を含む材料が光により伸縮する現象が観察されている。それを利用して、偏光の照射によって曲がったり真っ直ぐになったりする薄いフィルムを作ったという報告がある。このマクロな動きは偏光の方向により制御できる。曲がる理由は、フィルムの表面により近い部分がフィルムの内部よりもより大きく収縮するためである。
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