側頭葉てんかん説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 02:19 UTC 版)
死にゆく者の右側頭葉にてんかん性の異常な放電が生じ、これが神秘体験に似た幻覚を生み出すという説がある。ワイルダー・ペンフィールドによる研究では、右側頭葉にあるシルヴィウス溝へ電気刺激を行う事により人工的に起こされた側頭葉発作が、患者に「体外離脱の感覚」や「知人との邂逅」「人生のパノラマ回顧」などをもたらしたと報告されている。 ローレンシアン大学のマイケル・パーシンジャー(英語版)によれば、臨死体験で起こる現象と、側頭葉の信号には相関関係がある。側頭葉にトランジェント電位と呼ばれる特殊な電位が観測されると「側頭葉てんかん」が起き、これが臨死体験になるという。側頭葉てんかんにおいては、「哲学的になる」「愛情深くなる」といった効果が起こり、超常現象体験も増えると言われている。パーシンジャーの調査した臨死体験者のうち30%に辺縁系てんかんの跡が見られた。パーシンジャーは、こうした体験は病理的なものではなく、強力な治癒効果などを発揮するため大切にするべきと述べている。 また、マイケル・パーシンジャーは「ゴッドヘルメット」と呼ばれる装置を開発し、これで頭部を電磁波で刺激する事で、臨死体験の全ての要素を再現できたと報告している。 スイスのオルフ・ブランケの実験では、脳の右角回(右状角回)、あるいは側頭葉と頭頂葉のつなぎ目である側頭頭頂接合部を電気刺激した結果、体外離脱感覚を得られた患者がいた事が報告されている。 臨死体験後には「側頭葉が膨れ上がった」感じがあり、脳に構造的な変化が起きた実感があったと語る体験者もいる。「天国的な音楽を聴く」「空間や時間間隔が変容する」という体験は、右側頭葉の機能で説明できるという見方がある。
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