停止する秒針
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/09 15:36 UTC 版)
秒針が一時停止する「Stop To Go」という珍しい機能は、時計のマスターから各時計に対して毎秒信号を送るという仕様は費用がかかるため、それを回避する必要から搭載されている。これに加えて、このサイズの秒針が毎秒動作するのは、時計の寿命に影響を与える可能性があった。このため駆動には、交流で動作し常時回転する同期電動機が選択された。周波数の変動に対応するため、当時のスイスの商用電源周波数において最低限保証されている約48.5ヘルツでも1周を完了できるように秒針の駆動が設計された。次の1周の開始は、1分おきに送られる信号による。ヒルフィカーによれば「秒針は頂点で停止し、次の分を知らせる信号を待ち、この信号により長針が進み、同時に秒針が再び周回を開始する」としている。定格周波数であればほぼ2秒にも達するこのかなり長い停止時間は、現代の高い精度の50ヘルツ商用電源周波数でならばより短くすることもできるが、現代に至るも変更されていない。 秒針の停止は、同期電動機を止めることによって実現されている。メーカーのモバタイム社は、1947年の当初は機械式の方法を採用していた。時計盤周囲の溝の中のピンが秒針を固定し、磁石の働きにより引き抜かれ、同時に長針を1分進める機構になっていた。ラッチングにより、秒針が正しい位置で停止するように保証していた。同期電動機は常時回転するようになっていた。秒針が停止している間は、駆動機構の摩擦クラッチの部分が空転するようになっていた。
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