偏微分方程式の半群法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:06 UTC 版)
詳細は「C0半群」を参照 半群論は、偏微分方程式論においてもある種の問題の研究のために用いられる。大雑把にいえば、半群を使った手法というのは偏微分方程式をある種の函数空間上の常微分方程式とみなすことである。例えば、次のような空間的な区間 (0, 1) ⊂ R と時間 t ≥ 0 上の熱方程式の初期値/境界値問題 { ∂ t u ( t , x ) = ∂ x 2 u ( t , x ) , ( x ∈ ( 0 , 1 ) , t > 0 ) ; u ( t , x ) = 0 , ( x ∈ { 0 , 1 } , t > 0 ) ; u ( t , x ) = u 0 ( x ) , ( x ∈ ( 0 , 1 ) , t = 0 ) {\displaystyle {\begin{cases}\partial _{t}u(t,x)=\partial _{x}^{2}u(t,x),&(x\in (0,1),t>0);\\u(t,x)=0,&(x\in \{0,1\},t>0);\\u(t,x)=u_{0}(x),&(x\in (0,1),t=0)\end{cases}}} を考える。X をL2((0, 1); R) とし、A を D ( A ) = { u ∈ H 2 ( ( 0 , 1 ) ; R ) ∣ u ( 0 ) = u ( 1 ) = 0 } {\displaystyle D(A)=\{u\in H^{2}((0,1);\mathbf {R} )\mid u(0)=u(1)=0\}} を定義域とする二階微分作用素とすれば、先ほどの初期値/境界値問題は空間 X 上の常微分方程式の初期値問題 { u ˙ ( t ) = A u ( t ) ; u ( 0 ) = u 0 {\displaystyle {\begin{cases}{\dot {u}}(t)=Au(t);\\u(0)=u_{0}\end{cases}}} として解釈することができる。発見的方法のレベルでいえば、この問題の解は u(t) = exp(tA)u0 という形をしている「はず」である。しかし厳密に言えば tA の冪とは何であるかということに意味を与えなければならない。t の函数としては、exp(tA) は X から X への作用素からなる半群であり、時刻 t = t0 において初期状態 u0 をとり、任意の時刻 t において状態 u(t) = exp(tA)u0 をとるものである。このとき、作用素 A はこの半群の無限小生成作用素と呼ばれる。
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