初期値問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 03:25 UTC 版)
数学の微分方程式の分野における初期値問題(しょきちもんだい、英: Initial value problem)とは、未知関数のある点における値を初期条件として備えた常微分方程式を用いて、その未知変数の任意の点における値を求める問題のことを言う(コーシー問題とも呼ばれる)。物理学あるいは他の自然科学の分野において、あるシステムをモデル化することはある初期値問題を解くことと同義である場合が多い。そのような場合、微分方程式は与えられた初期条件に対してシステムがどのように時間発展するかを特徴付ける発展方程式と見なされる。
- ^ Coddington, Earl A. and Levinson, Norman (1955). Theory of ordinary differential equations. New York-Toronto-London: McGraw-Hill Book Company, Inc.
- ^ Robinson, James C. (2001). Infinite-dimensional dynamical systems: An introduction to dissipative parabolic PDEs and the theory of global attractors. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-63204-8
- 1 初期値問題とは
- 2 初期値問題の概要
- 3 例
- 4 関連項目
初期値問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 18:27 UTC 版)
「常微分方程式の数値解法」の記事における「初期値問題」の解説
N {\displaystyle N} 個の変数 y = ( y 1 , ⋯ , y N ) ∈ R N {\displaystyle y=(y_{1},\cdots ,y_{N})\in \mathbb {R} ^{N}} に関する1階常微分方程式、すなわち [ t 0 , b ] × R N {\displaystyle [t_{0},b]\times \mathbb {R} ^{N}} (またはその開集合)で定義されたベクトル値連続関数 f ( t , y ) = ( f 1 ( t , y ) , ⋯ , f N ( t , y ) ) {\displaystyle f(t,y)=(f_{1}(t,y),\cdots ,f_{N}(t,y))} により定まる次の方程式 d y d t = f ( t , y ) {\displaystyle {\frac {dy}{dt}}=f(t,y)} について考える。その初期値問題 (initial-value problem) とは、初期条件 y ( t 0 ) = y 0 {\displaystyle y(t_{0})=y_{0}} を満たす関数 y ( t ) {\displaystyle y(t)} を求めることである。関数 f {\displaystyle f} が第2引数についてリプシッツ連続であるとき、すなわち定数 L {\displaystyle L} が存在し ‖ f ( t , y 1 ) − f ( t , y 2 ) ‖ ≤ L ‖ y 1 − y 2 ‖ {\displaystyle \left\|f(t,y_{1})-f(t,y_{2})\right\|\leq L\|y_{1}-y_{2}\|} ( ‖ ⋅ ‖ {\displaystyle \|\cdot \|} は R N {\displaystyle \mathbb {R} ^{N}} のノルム)を満たすとき、その初期値問題には解が一意に存在する(ピカール・リンデレフの定理)。本節では常微分方程式の初期値問題を数値的に解くことについて議論する。
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