保税倉庫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 15:08 UTC 版)
外国貨物を保税状態のまま保管できる施設のこと。主に中継貿易の振興を図るため設けられる。例えば、輸送単価軽減のため大量に輸送されてきた外国貨物を関税猶予の状態で長期間蔵置しておき、需給状況に応じて適時に外国への積み戻しや国内への輸入手続きを行なうことができ、これにより関税支払を必要最低限に抑え、また関税支払が繰り延べされた分だけ金利を抑えることもできる。自家保税倉庫と営業保税倉庫の二種があり、後者の貨物は輸送費を軽減するため蔵置状態のまま倉荷証券で売買される場合がある。 欧州において保税倉庫は自治体など公的機関によって設置されるほか私企業でも設置運営が可能であり、特に美術品を専門に扱う輸送業者が関わるケースが多いという。これにはスイス銀行が2017年から口座情報などを国外の税務当局に開示するようになったことが影響しており、脱税や資金洗浄目的でスイスの銀行に口座を持っていた富豪らが資金を美術品に変えた上で「貿易途中は課税されない」という保税倉庫の隙をついて美術品を飾りもせずに文字通り置きっぱなしにするためだという。また、絵画の修復や真贋の判定などのサービスも提供している保税倉庫があり、これらのサービスも非課税となる。2022年現在、世界最大の保税倉庫はスイスのジュネーヴにあるジュネーヴ・フリーポート(英語版)であり、1000億ドルを超える額の美術品が保管されている。
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