俗信と近代の狐伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 22:31 UTC 版)
「日本の文化における狐」の記事における「俗信と近代の狐伝説」の解説
狐にまつわる俗信には、日暮れに新しい草履(ぞうり)をはくと狐に化かされるというものがあり、かなり広い地域で信じられていた。下駄はもちろん靴でも、新しい履き物は必ず朝におろさなければならないとされ、夕方、新品を履かねばならないときは、裏底に灰か墨を塗らねばならないといわれている。 狐に化かされないためには、眉に唾をつけるとよいというが、これは、狐に化かされるのは眉毛の数を読まれるからだと信じられていたためである。真偽の疑わしいものを「眉唾物(まゆつばもの)」というゆえんである。 法話や俗信では説明のつかない、比較的新しい伝説や伝承も存在する。大阪府の松原市には、戦後しばらくの間まで人に混じって、化けた狐たちが生計を立てていたという伝承が残っている。彼らは人々と良好な交流関係を保っていただけでなく、姓と名を持ち、住民として住民票が交付されていた。 内山節の『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(講談社現代新書 2007年)によれば、「1965年の精神革命」という心の変化があり、「キツネにだまされる能力」をなくしたという。高度成長、迷信・まやかしを否定する精神風土、ラジオ・テレビの普及、進学率の上昇、自然と共同体を包んでいた世界の消滅、自然と人の分離、原生林や天然林の消滅などで老キツネの消滅などがその理由としてあげられている。
※この「俗信と近代の狐伝説」の解説は、「日本の文化における狐」の解説の一部です。
「俗信と近代の狐伝説」を含む「日本の文化における狐」の記事については、「日本の文化における狐」の概要を参照ください。
- 俗信と近代の狐伝説のページへのリンク