企業の会計監査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 17:17 UTC 版)
詳細は「財務諸表監査」を参照 企業に関する監査は、以下の三者によって担われている(三様監査)。 監査役(監査役会)あるいは監査委員会または監査等委員会 (以下、「監査役等」) 公認会計士(公認会計士の集まりである監査法人も含む) 内部監査人 上場企業においては三様監査のすべてが行われており、三様監査は互いに連携することが期待されている。 会計監査において最も重要な役割を果たすのは、公認会計士によって行われる財務諸表監査である。公認会計士監査は、会社法上の大会社や金融商品取引法における上場会社等に義務付けられており、その特徴は職業的専門家による外部監査であることである。 会計報告は、一般に公正妥当とされる会計慣行(GAAP、特に日本の場合は企業会計原則その他の会計基準など)にもとづいて作成されることが求められている。財務諸表監査は、一般に公正妥当とされる監査慣行(GAAS、特に日本の場合は監査基準など)にもとづいて、財務諸表の適正性について意見を表明することを目的としている。 会計監査は「重要な虚偽の表示」を排除することが目的であり、細かな虚偽の表示を排除することが目的ではない。理由としては、現実的に精査することは困難であるため、試査を行うのが現実に即しているからである。また、会計報告は利害関係者の判断材料であることから、その判断材料に資するものである必要があるが、その判断を誤らせるような虚偽の表示を、特に「重要な虚偽の表示」と呼び、注力して排除することとなる。 また、試査(サンプル調査)による監査が行われるため、それぞれの会計処理に内部統制が存在していること必要である。金融商品取引法に基づく財務諸表監査では、経営者の内部統制報告書に対して独立監査人が意見を表明する内部統制監査が同時に行われる。内部統制の整備・運用状況に応じて調査方法を効率的にしたり、サンプル数を増減させることでその質を保つことができる。ちなみに会計監査における内部統制とは、企業内の規則や運用状況全般を指すものであり、規則や設備を設けることだけではない。内部統制が希薄な部分に関しては、監査手続を厳重(ない場合は精査)にすることで対応するため、それだけ費用・時間がかかる。 会計基準や監査基準などは法とはいえないが、明文化され公表されている慣習法である。法制化されていない理由は、極めて慣習的かつ学問的であり、時代の変化に即してスピード感を持って対応することが重要であり、法改正で対応することが不可能なためで、医療行為と同様に、方法論を縛ることが弊害になるからである。明文化の作業は、企業会計審議会や公認会計士協会により行われることとなる。
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