今日のドックランズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 03:20 UTC 版)
過去20年間で、ドックランズの人口は2倍以上になり、また交通も便利な大ビジネスエリア・住宅地区になった。交通網は明らかに良くなり、ドッグ島は1999年に地下鉄ジュビリー線が延伸し、ウェストミンスター駅から6駅でカナリー・ワーフに着き、東郊のセントラル線にストラトフォード駅で接続した。またドックランズ・ライト・レイルウェイは、東はベックトン方面への延伸が完了し、さらに支線としてロンドンシティ空港を経てキングジョージ5世ドック方面への延伸が2005年12月に完成した。また南はドッグ島を縦断しテムズ川を越えてグリニッジ、ルイシャムまで延伸している。カナリー・ワーフはヨーロッパ最大の超高層ビル街となり、シティの金融街としての地位を脅かすまでになった。ドックランズの東半分を占めるロイヤルドックは、エクセル・エキシビション・センター(コンベンションセンター)として生まれ変わった。国際的なホテルとして、フォーシーズンズ、ヒルトン、マリオットも建設された。 ドックランズのほとんどの古い倉庫や埠頭は撤去されたが、いくつかの倉庫は改修されて住宅などとして使用されている。ドックの掘割と水面自体はほとんどが残され、主にマリーナやウォータースポーツのセンターとなっている(例外として、無数のドックがあったサリー商業ドックは大半が埋め立てられた)。たまに大きな船が古いドックに入港することがあるが、貨物運送はティルバリーやフェリクストウに移転している。 ドックランズの再生は、荒廃した周囲の下町にも影響が及んだ。たとえば、グリニッジとデプトフォードは交通網の発達の結果通勤至便な場所となり、大規模な再開発が進行している。 しかし、ドックランズの再開発は、他方で損失となった側面もある。大規模な不動産ブームとそれに伴う家賃の上昇は、ドックランズの転入者と、家賃上昇で出て行かざるを得ない古くからのコミュニティとの間に、深刻な摩擦を起こした。またイギリスのどこでも見られる不一致現象 -エグゼクティブのための高級なアパートが荒廃した公営住宅の傍らに建つ- のもっとも衝撃的な事例となった(都市のジェントリフィケーション現象)。 ドックランズの「サッチャー政権のイギリス」の象徴としての地位は、テロの標的にもなった。カナリー・ワーフ爆破計画が失敗に終わったIRA暫定派は、1996年2月10日、サウス・キー駅で大きな爆弾テロを起こし、2人が死亡、40人が負傷、ビル三棟が全壊し、1億5000万ポンドの損害が周囲に発生する惨事となった。
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