交渉の技術が無い場合の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/24 10:24 UTC 版)
(1)多くの人は、交渉は利益の奪い合いであると考える。 金額の交渉であるような場合にも、単純な奪い合いではなく、安定した関係の維持や、信頼の確立など、別の価値が関与している場合がある。(多くの人は、非ゼロ和交渉の場合も、ゼロ和交渉だと考える)。 (2)人間には、いったん攻撃されると、仕返しをする習性がある。 ゲームの理論における最も優れた戦略の一つに、しっぺ返し戦略(tit for tat)がある。このことは、人間行動に影響を及ぼし、人間の習性になっている。この戦略の欠点は、相互にこの戦略を採用する場合に、偶然に攻撃が起きると、仕返しが永久に繰り返される点である。 (3)人間には、いったん戦いになると、全力で勝とうとする習性がある。 歴史を通じて、勝った方が、全ての利益を獲得するシステムであった。しかし、交渉が戦いになれば、良好な関係が失われ、平和的な共存共栄は不可能になり、戦いの荒廃がもたらされる。絶対君主は効率の悪さから滅亡し、民主主義国家に置き換わる。 (4)人間には、相手の意図を正しく把握する能力が無い。 社会心理学の帰属理論が明らかにしたことは、人間は相手の行動の意図を正しく把握できないことである。自分自身については、その止むを得ない事情を知っており、痛みを感じ、自分の苦労を共感的に理解しているが、相手に対してはそうではない。根拠も無いのに、相手が最低最悪の意図を持っていると即断してしまうのである。長い自然状態の下では、当然の推定であった。
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