二月堂食堂
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:27 UTC 版)
木造訶梨帝母坐像 重要文化財。平安時代。像高42.2センチ。一般には非公開。 二月堂の登り廊の下に位置する食堂(じきどう)に安置される天女形の護法善神像。経説によれば、訶梨帝母(かりていも、サンスクリット名ハーリティー)は夜叉神の娘で、もとは人間の子供を捕えて喰う悪鬼であったが、釈迦の説法によって改心し、仏法の守護神、子供や安産の守護神となったとされる。日本では「鬼子母神」の名称で広く信仰を集めている。本像は胸に1人の幼児を抱く姿で表される。訶梨帝母像は3人ないし5人、7人、9人など複数の幼児とともに表されることが多く、本像の場合ももとは3人の幼児を伴っていたうちの2人が失われたものと思われる。大袖の衣の上に領巾(ひれ)、肩蔽(かたおおい)を着け、下半身には裳(も)をまとい、左脚を踏み下げて坐す。ヒノキ材の寄木造で、頭体の主要部は左右二材矧ぎ。両脚部には横一材を矧ぎ、膝奥や左足先にも別材を矧ぐ。右手先は欠失するが、他の訶梨帝母像と同様に、元は柘榴果(豊穣多産の象徴)を持っていたものと思われる。白土下地に彩色仕上げとし、肉身の白、着衣の白緑、黄土、朱の彩色は当初のものが残る。衣文は浅く穏やかに刻み、目鼻立ちは小ぶりに表すなど、平安時代末、12世紀頃の作風を示す。
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