事実上の推定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 02:01 UTC 版)
Aという間接事実の存在が立証されたときにBという主要事実の存在についても確からしいと判断し、それを認定する裁判所又は裁判官の心証作用のこと。自由心証主義の帰結である。 民事裁判であっても、もし証拠保全命令、文書提出命令、調査嘱託などの申立てが認められ、証拠を入手して提出すれば、証拠調べが行われた上での推認が行われうる。もっとも、裁判所は証拠調べの必要性がないことを理由として命令を棄却することができ、これに対する抗告は認めていない。判例を通じて規範化しているものもあることも否めない(私文書の印影から押印(本人又は代理人の意思に基づく捺印)を推定することなど)。 刑事裁判では、例えば「甲と乙は密室に入室した。中から怒鳴り声とわめき声が聞こえ、1分後に全身に血を浴びた甲が出てきたとき、乙は中で仰向けに血まみれになって横たわって死んでいた。」という証言や科学捜査の結果のあった事例において、「甲が乙を殺した」という要件事実が事実上推定されうる。 証明責任の転換を伴わないため、これを覆すには反証で足る。
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