三河湾-九州の個体群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2010/07/12 13:59 UTC 版)
「ヒロクチカノコ」の記事における「三河湾-九州の個体群」の解説
一方、三河湾から九州にかけて分布する個体群は、貝殻が前後に細長いこと、殻口滑層は淡褐色で黒くはならないこと、滑層の後側方の角張りが弱いこと等で南西諸島産と区別される。このため九州以北産は南西諸島産とは別種とされている。2009年現在、九州以北産は未記載種 Neripteron sp. とされ、「本土型ヒロクチカノコ」「ヒロクチカノコ近縁種」等の暫定的な呼称で区別されている。 九州以北産は東京湾以西に分布していたが東京湾で絶滅し、21世紀初頭時点の分布域は三河湾から九州までである。瀬戸内海や有明海等大規模な内湾の沿岸に比較的多産する。汽水域のヨシ原を伴う軟泥干潟に生息するが、波が当たる所や流水がある所には見られず、水が淀んだ、あるいは細流が流入する程度の区域を好む。生息地では干潟の水溜まり内を這う、あるいは転石や流木等に付着する様が観察できる。同所的に見られる動物は、貝類ではイシマキガイ、ウミニナ、フトヘナタリ等、貝類以外ではアベハゼ、フタバカクガニ、クロベンケイガニ等である。 夏に繁殖し、メスは交尾後に卵嚢を転石や流木等に多数産みつける。卵嚢は直径2mmほどで楕円形・黄白色をしており、イシマキガイなどの卵嚢によく似ている。孵化した幼生は海で浮遊生活をし、成長後に汽水域へ定着する。
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